「袴田事件」1966年、静岡県で全焼した民家の焼け跡から刃物で刺された一家4人の遺体が発見された。殺人などの容疑で逮捕され、死刑判決が確定した袴田巖さんは「無実」を訴え、裁判のやり直し（再審）を求めている。2014年には再審開始が認められ釈放されるが、検察側の抗告により、袴田さんは今も死刑囚のまま。前代未聞の釈放劇から9年。半世紀近く引き裂かれていた姉と弟。拘置所の壁に隔てられ、想像を絶する苦難を生き抜いたものの、奪われた時間は2度と戻らない。なぜこれほどの試練が与えられなければならなかったのか。明日を生きるため、祈り、権力に抗い続ける袴田さん。死刑囚として生きた1人の元ボクサーと“その帰りを待ち続けた姉”の長編ドキュメンタリー。