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2019.10.2

『真実』女優にとっての「真実」とは?

FORUM SELECTION

 

真実-01 

 

 

 是枝裕和監督が、映画界の至宝カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュでフランス映画を撮る―。映画ファンにとってはこれだけで胸躍る大事件です。「いつか一緒に映画を撮りましょう」というビノシュと10年以上の交流を経て、お互いにアイデアをやり取りしながら形作ってきたという本作で、是枝監督は海外で最も尊敬する二人の女優の初共演を叶えました。

 

 

真実-03 

 

 

 「女優とは、演じるとは何か」という問いを、軽やかな家族ドラマで探求する本作の主人公は、監督がドヌーヴへのロングインタビューをもとにして書き上げたというパリ在住の国際的大女優・ファビエンヌ。女優としての自分が何より大事な彼女は、歯に衣着せぬ物言いで周囲の人間を振り回しますが、ワガママながらもチャーミングでどこか憎めません。ビノシュが演じるのはその娘で、女優になる夢をあきらめて脚本家になったリュミール。「真実」と題されたファビエンヌの自伝本が出版されることになり、ニューヨークから夫と娘を連れて帰国します。夫を演じるイーサン・ホークには、『6才のボクが、大人になるまで。』など長年に渡るリチャード・リンクレイター監督との仕事ぶりに惚れ込んだ是枝監督が、直談判で出演を取り付けました。フィクションとノンフィクションが融合した作風は、是枝監督とも似ていますね。

 

 

真実-02 

 

 

 劇中、一晩で自伝本を読み終えたリュミールが「この本のどこに真実があるのよ!」とファビエンヌに食って掛かると、「事実なんて退屈だわ」とさらりと言ってのけるシーンが印象的です。そもそも、演じることを生業とする女優にとって、「嘘」というものは存在するのでしょうか?私生活にあっても常に誰かを演じているかのような、ファビエンヌの台詞や表情、そして仕草の一つ一つがカリスマに満ちていて、その存在感に釘付けにされてしまいます。幼少の時から十分な愛情を注いでくれなかった母に対する愛憎、尊敬、嫉妬などが複雑に絡み合うリュミールもまた、いくつもの役を演じる女優のように見えてくるから不思議です。

 

 日本人監督初の快挙として、ヴェネチア国際映画祭でオープニングを飾った本作は、熱烈なスタンディングオベーションで迎えられました。フランス映画のエスプリと是枝節が絶妙にミックスした世界を、ぜひ体感してください。

 

 

 (フォーラムシネマネットワーク番組編成 長澤 綾)

 

作品詳細はこちら

(C)2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA

 

 

 

 

 

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