メッセージ from フォーラム
2013 年は『東京家族』で幕開けです
2013.1.1
「休む間もなく涙が溢れて、信じられないくらい素晴らしかったです。何度も観たくなるような揺るぎないクオリティ! ミュージカル映画の金字塔となること間違いなしですね。こんな作品をスクリーンで観ることができる幸せをかみしめました。」―これは、東京在住のフォーラム番組編成担当者が『レ・ミゼラブル』の試写を観た直後に送ってきたメールです。このお正月No.1の観ごたえで、フォーラム全7地区のスクリーンで上映を開始しました。このお正月、一番のおすすめ映画です。
11月17日から上映している『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』、12月15日から上映している『ONE PIECE FILM Z』の2本のアニメが、初日はソラリスの250席が朝から夜まで常に満席という、記録的な大ヒットになっています。今年の映画界は、年末に飛び出したこの2本に支えられて、前年比105%くらまで回復しました。年末の3連休にスタートする『レ・ミゼラブル』『大奥~永遠~』の2作品の高稼働があれば、106~107%も見えてくることになり、久しぶりに映画業界が活気づいた年末になりました。
そして、1月中旬以降の正月第2弾の作品が、今年はツブぞろいです。イチオシは山田洋次監督の『東京家族』です。小津安二郎監督の『東京物語』は、世界の映画史上のベストワンに選ばれることもある傑作中の傑作ですが、戦後間もない昭和28年の映画ということで現代とはだいぶ世相が違います。山田洋次監督が現代版『東京物語』を作ろうとしたのが、この『東京家族』です。去年の春のクランクイン直前に大震災が起きたため、公開を1年延期してシナリオを書き変え、震災後の話という設定になりました。山田洋次監督の丁寧な仕事ぶりは、NHKをはじめとするテレビ番組で何度も取り上げられていますが、映画の評価は内容がすべて! 『東京家族』が『東京物語』を超えているとまでは言い切れませんが、傑作の多い山田洋次監督の作品群の中でも史上最高の作品と断言できます。『東京家族』は、いま生きている私たちが必ずスクリーンで観るべき映画です。
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』は、タイトルを聞いただけではどんな映画なのかイメージがわかないと思いますが、奇跡のような映像体験をお約束します。この映画に巡り合ったことを感謝するような感動に出会えます。
『テッド』は、子供の頃の願いが奇跡を生んで命を得たテディ・ベアと主人公が、一緒に年をとってお互い35歳の中年になるという面白い設定の映画。主人公が結婚することになり、同居している大親友のテディ・ベアとの友情がどうなってしまうのかという、シリアスなドタバタコメディです。この映画を作ろうとした製作者たちに拍手! そして、この映画を大ヒットさせたアメリカの大人な心意気にも拍手を送ります。日本では絶対に作れない映画だと思いました。コメディは好みが分かれると思いますが、笑って泣ける映画で、『テルマエ・ロマエ』を楽しめた方にはおすすめできます。私は大好きです。
『みなさん、さようなら』は、団地の中だけで生きていこうと決心した主人公(濱田岳演じる悟)の、12歳から32歳までの20年に及ぶ青春物語。とてつもない傑作です。映画を見続けていると、時たま、こんな傑作に出会える。映画の神様ありがとう。
『アウトロー』は、先ほどの東京在住の番組編成担当者からのメールで紹介します。「よく出来たエンターテインメントで楽しみました。トム・クルーズはなんだかんだ、ツボを心得ているなあと、妙に感心しました。変に肩がこるような手に汗握るアクションというよりは、力の抜けたアクションコメディという感じで見やすかったです。でもカーアクションのシークエンスは、セリフも音楽もなく、ストイックでかっこ良かったり、あなどれない映画です。全米公開は12月21日ですが、人気シリーズになってくれるといいなと思います。」
その他、『ゲキ×シネ 髑髏城の七人』『渾身』『LOOPER ルーパー』『砂漠でサーモン・フィッシング』『ストロベリーナイト』『つやのよる』と見ごたえ十分でバラエティ豊かな作品群が続きます。『コッホ先生と僕らの革命』『映画と恋とウディ・アレン』もおすすめできます。
2012年12月21日
(フォーラムネットワーク 代表 長澤裕二)
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