メッセージ from フォーラム
『風立ちぬ』のメッセージ、受け取りましたか?
2013.7.1
『モンスターズ・ユニバーシティ』と『風立ちぬ』が共に大ヒットして、全国で1000万人の大台を目指し、順調に客足を伸ばしています。どちらも、8月お盆にどれだけ客層を広げられるかに勝負がかかっています。
『風立ちぬ』は試写で一度、そして劇場公開後もう一度観ました。一度目は、夏休みのど真ん中でこんな大人向けの映画で大丈夫なのかと心配になりましたが、二度目に劇場で観たときは土曜日の午後ということもあり、ほぼ満席で、圧倒的に子供より大人が多かったのですが、ラストシーンはすすり泣きが聞こえてきました。また、結構小さい子供たちもいたのですが、誰も騒がず、大人の物語をじっと観ていました。
実在の堀越二郎と堀辰雄をモデルにしながら、架空の主人公を創造したことで、物語がかえって胸に迫るってあるんですね。実際に開発された零戦も、映画ではワンシーンしか登場しないのに、そのパイロットたちがほとんど帰らず、「国を亡ぼす」結果になった痛みが、よく伝わりました。
スタジオジブリの無料冊子「熱風」7月号が憲法改正を特集していて、宮崎駿、鈴木敏夫、児童文学者の中川李枝子、高畑勲の4人の原稿が、ジブリの公式ホームページからダウンロード出来ました。ネットできる方は是非お読み下さい。ネット出来ない方のために、フォーラム・ソラリスの掲示板に張り出します。A5版で30ページあります。
『風立ちぬ』は全世代の映画ファンにお勧めします。「熱風」を読んでから観るか、『風立ちぬ』を観てから読むかはお任せします。
本当に『風立ちぬ』は1000万人の方々に観ていただきたいと思ういい映画です。私は試写を観て、「熱風」を読んで、もう一度映画を見て、涙が止まりませんでした。鈴木プロデューサーが「これは宮崎駿の遺言だ」と言っているのも納得の感動です。宮崎駿初めての完全大人映画です。背伸び出来る、ちょっと大人な子供も観られます。あの子供たちが画面に集中している姿は、日本の未来を確信させてくれます。夏休み中は毎日この光景が見られます。
『終戦のエンペラー』は、スタッフもキャストも日米混成のハリウッド映画です。昭和天皇の戦争責任をどう問うか、GHQ内部の取り組みを描いた、とても真面目なハリウッド映画です。
「開戦に対する天皇の責任は日本的あいまいさが残るが、陸軍の反対を押し切って、この戦争の終結を決断し命令したのは天皇だ。」これが、今回の映画の結論です。そして昭和天皇は、日本の再建に向け、全国行脚をすることになります。
46年前、『日本のいちばん長い日』という東宝映画を観ました。結論は今回と同じですが、日米混成のハリウッド映画でこの結論が出たのは意義深いことです。若い方もシニアの方も是非ご覧下さい。
『少年H』は妹尾河童の自伝的小説の映画化、庶民がどんなふうに戦争に巻き込まれていくかを描く感動大作です。
「戦争なんて二度とゴメンだ」と語っていた戦争経験者たち。昨今、彼らが次々と亡くなって、「自衛隊を国防軍にしよう」とか、「憲法9条を無くそう」とか、彼らが安らげない主張が次々とでてきました。「戦争は二度とごめんだ」という声を、親たちから直接聞いた私たちが生きてる間は、そんな改憲を許してはいけません。『少年H』是非ご覧ください。
山形は本格的な空襲もなかった街ですが、直接経験していないことでも、積極的に学んでいかないと、子供たち、孫たちに苛酷な運命を強いることになります。公約を一つも実現できなかった民主党にあきあきしても、目先の景気がいくら気になっても、本当に大切なことは放棄してはいけません。
8月は、外国映画のレベルも結構高いんです。
『ローン・レンジャー』は『パイレーツ・オブ・カリビアン』に続くシリーズにすべく企画された映画で、スケールも笑いも超大作です。
『パシフィック・リム』は日本のアニメや特撮に影響を受けて作られた世界観の映画。
『ワールド・ウオーZ』は正体不明のウイルスによって人間がゾンビ化してしまうお話。 この2作は好みが分かれるかも知れませんが、どちらも世界的に大ヒットした大作です。 『ホワイトハウス・ダウン』は、6月に公開された『エンド・オブ・ホワイトハウス』をさらに大掛かりにしたアクション大作です。
『スタートレック イントゥ・ダークネス』は前作同様J.J.エイブラムスの監督作品。TVシリーズからの印象とは全然違う世界観を作り出しました。今回はますますスピーディなストーリー展開で楽しめます。
『マン・オブ・スティール』は21世紀のスーパーマンです。さすが夏休み映画、どれも一級品です。 単館系のおすすめは『さよなら渓谷』。真木よう子の在り様を理解出来るかが鍵。私たちが目指すのは「人生の達人」か、「人生観の達人」か。深いー映画です。
2013年7月30日
(フォーラムネットワーク 代表 長澤裕二)
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