アキ・カウリスマキ監督特集「カウリスマキの文芸作」Aki Kaurismäki's Literature Films
『枯れ葉』公開記念アキ・カウリスマキ監督特集、ついに第4弾! 大の映画狂である一方、文学にも造詣が深く、映画監督になる以前は作家を志していたというカウリスマキは、文学作品を原作・原案とした監督作をこれまでに4本制作している (サルトル原作のテレビ映画『汚れた手』を含めると5本) 。カウリスマキはどのようにして名作文学の映画化に挑んだのか。大胆な換骨奪胎の腕が冴える4作品を一挙上映!
『罪と罰』
Rikos ja rangaistus
(1983/フィンランド/1h33)
監督・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:マルック・トイッカ/アイノ・セイッポ/エスコ・ニッカリ/マッティ・ペロンパー/ハンヌ・ラウリ
食肉解体工場で働くラヒカイネンが、ある中年男を殺害する。その現場をエーヴァに目撃されるも、彼女はラヒカイネンを警察に告発しようとせず…。ドストエフスキーの「罪と罰」の舞台を現代のヘルシンキに移し替えた劇場長編第一作。ヒッチコックでさえ映画化に恐れをなしたという文学の金字塔だが、カウリスマキはそれゆえにデビュー作の原作に選んだという。行動のみを粛々と描く簡潔な展開にはすでに強固なスタイルの萌芽が窺え、フィンランドのアカデミー賞にあたるユッシ賞の脚本賞などに輝いた。
『ハムレット・ゴーズ・ビジネス』
Hamlet liikemaailmassa
(1987/フィンランド/1h29)
監督・脚本・製作:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:ピルッカ=ペッカ・ペテリウス/カティ・オウティネン/エリナ・サロ/エスコ・サルミネン/エスコ・ニッカリ/カリ・ヴァーナネン/マッティ・ペロンパー
ハムレットは造船会社の御曹司。社長である父の死が、会社の乗っ取りを企む叔父の仕業であることを知って復讐を誓うが…。言わずと知れたシェイクスピアの名作戯曲「ハムレット」に大胆きわまる翻案を施し、現代の資本主義企業に渦巻く冷徹で滑稽な陰謀劇を描いた野心作。カウリスマキのフィルモグラフィでも最も毒に満ちた一篇で、監督自身いわく「白黒のB級アングラ古典ドラマ」。のちのカウリスマキ作品でもたびたび目に触れるラバーダック (お風呂に浮かべるアヒルのおもちゃ) が印象的に登場する。
『ラヴィ・ド・ボエーム』
La Vie de bohéme
(1991/フランス-イタリア-スウェーデン-フィンランド/1h43)
監督・脚本・製作:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:マッティ・ペロンパー/イヴリヌ・ディディ/アンドレ・ウィルムス/カリ・ヴァーナネン/ジャン=ピエール・レオー/サミュエル・フラー/ルイ・マル
パリで暮らす画家のロドルフォ、作家のマルセル、音楽家のショマールは貧しいながらも夢を追う日々を送っていた。ロドルフォはミミという女性と出会い愛し合うが、やはり貧しさが2人の生活の枷となり…。オペラ化で有名なミュルジェールの小説「ボヘミアン生活の情景」が原作。劇中に登場する絵画はカウリスマキ夫人パオラ・オイノネンの手によるもので、犬のボードレールも夫妻の愛犬。ジャン=ピエール・レオーやサミュエル・フラーも出演するなど、カウリスマキの長年の憧れが隅々まで結実した名作。
『白い花びら』
Juha
(1999/フィンランド/1h18)
監督・脚本・製作:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:サカリ・クオスマネン/カティ・オウティネン/アンドレ・ウィルムス/エリナ・サロ/エスコ・ニッカリ/マルック・ペルトラ
ユハとマルヤの夫婦は農家として幸せに暮らしていたが、都会からシェメイッカという男がやってきたことで一変。マルヤはシェメイッカに誘惑され、夫の元を去ってしまう―。原作はフィンランドの国民的作家ユハニ・アホが1911年に発表した小説「ユハ」。これを “文学の中で最も力強い三角関係を描いたドラマ” と評価するカウリスマキは「20世紀最後の (音楽付き) 無声映画」として映画化した。常連俳優サカリ・クオスマネン唯一の主演作で、白黒画面の詩的な美しさはカウリスマキの白黒作品でも随一を誇る。
- 【公開日】
- 2024年2月16日
- 【上映時間】
- 分
- 【監督・脚本】
- アキ・カウリスマキ
- 【撮影】
- ティモ・サルミネン
- 【上映期間】
- 2/16(金)~2/22(木)
- 【公開日】
- 2024年2月16日
- 【上映時間】
- 分
- 【監督・脚本】
- アキ・カウリスマキ
- 【撮影】
- ティモ・サルミネン
- 【上映期間】
- 2/16(金)~2/22(木)