アキ・カウリスマキ監督特集「カウリスマキと異邦人」Strangers in Aki Kaurismäki's Films
『枯れ葉』公開を記念して始まったアキ・カウリスマキ監督特集、ラストを飾る第5弾は「異邦人」をキーワードとした3作品を上映。フィンランドを代表する映画監督で、多くの作品において現代のフィンランドを舞台としてきたカウリスマキだが、“難民三部作” と銘打つことになる『ル・アーヴルの靴みがき』で主題化される以前から、「異邦人のまなざし」とでも呼ぶべきものが映画のそこかしこに散りばめられていた。異邦人が注ぐまなざし、異邦人に注がれるまなざしを見つめていくことで、カウリスマキ映画のエッセンスも浮かび上がってくる。
『コントラクト・キラー』
I Hired a Contract Killer
(1990/フィンランド-イギリス-ドイツス-ウェーデン/1h20)
監督・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:ジャン=ピエール・レオー/マージ・クラーク/ケネス・コリー/セルジュ・レジアニ/ジョー・ストラマー
ロンドンの水道局で働く孤独なフランス人アンリは突然のリストラに絶望し、自殺を決意。しかし臆病と不運によりそれも果たせない。殺し屋に自分を殺すことを依頼するが、その直後に花売り娘に恋をして…。カウリスマキにとって人生を変えたアイドルの一人であるジャン=ピエール・レオーを主演に迎え、ロンドンで撮影したラブコメディの傑作。ジム・ジャームッシュが繋いだ縁でジョー・ストラマーも出演し、歌声を聴かせている。フィンランド撮影作品とはややタッチの異なる色彩がこの上なく美しい。
『愛しのタチアナ』
Pidä huivista kiinni, Tatjana
(1993/フィンランド/1h02)
監督・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:カティ・オウティネン/マッティ・ペロンパー/キルシ・テュッキュライネン/マト・ヴァルトネン/エリナ・サロ
仕立屋のヴァルトと自動車整備工のレイノが旅に出た。その途上で2人の女性、エストニア出身のタチアナとベラルーシ出身のクラウディアに出会う。4人は港まで同乗することになり…。カウリスマキと常連俳優の魅力が凝縮されたマッティ・ペロンパーの遺作。ペロンパーとカティ・オウティネンは誰もが認めるカウリスマキ組の二枚看板だったが、2人が主演級で競演したのは本作と『パラダイスの夕暮れ』のみ。カウリスマキファンにとっては、小さな、しかし永遠に輝く宝石のような愛すべきロードムービー。
『希望のかなた』
Toivon Tuolla Puolen
(2017/フィンランド/1h38)
監督・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:シェルワン・ハジ/サカリ・クオスマネン/イルッカ・コイヴラ/ヤンネ・フーティアイネン/ヌップ・コイヴ/カティ・オウティネン/マリア・ヤルヴェンヘルミ
■第67回ベルリン国際映画祭 銀熊賞 (最優秀監督賞) 受賞
生き別れの妹を探し、ヘルシンキに流れ着いたシリア難民の青年カーリド。難民への差別や暴力はこの街でも無縁ではなかったが、レストランオーナーのヴィクストロムが救いの手を差し伸べてくれて…。急速に根深く広がる不寛容の世界に対する、カウリスマキ渾身の異議申し立て。映画を突き動かすのはその憤りかもしれないが、ユーモアも決して忘れないのがカウリスマキの偉大なところ。また、カウリスマキ作品においては珍しいことではないとは言え、やはりこのラストカットを涙なしに見ることは難しい。
- 【公開日】
- 2024年3月22日
- 【上映時間】
- 分
- 【監督・脚本】
- アキ・カウリスマキ
- 【撮影】
- ティモ・サルミネン
- 【上映期間】
- 3/22(金)~3/31(日)
- 【公開日】
- 2024年3月22日
- 【上映時間】
- 分
- 【監督・脚本】
- アキ・カウリスマキ
- 【撮影】
- ティモ・サルミネン
- 【上映期間】
- 3/22(金)~3/31(日)