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2019.8.9
『長いお別れ』
認知症になると本当に記憶が消えるのか?
FORUM SELECTION
近い将来、65歳以上の5分の1が発症すると言われる認知症に、関心が高まっています。物忘れとは違い、日常生活に支障をきたすため、家族の負担は大変なものです。直木賞作家の中島京子さんによる小説『長いお別れ』は、実際に認知症の実父を介護した経験を元に、暗くなりがちなテーマをあえてユーモラスに描かれています。映画では、病状の進行に応じて7年間を4つの時代に分け、さらに夫婦の話、対照的な二人の娘の話、孫の話、という三世代を描く手法がとられています。
介護に追われる妻と二人の娘の3人の女性を中心にストーリーは進んでいきますが、この3人がとても個性的で、いそうでいないタイプと感じました。特に妻の献身ぶりには頭が下がります。娘に頼ることなく、一人黙々と介護をする強さはどこから来るのだろうか、と非常に不思議でした。実際に介護を経験されている方にはどのように映るのか、感想を教えていただきたいです。伊勢真一監督のドキュメンタリー映画『妻の病レビー小体型認知症』(2014) で妻の介護をする石本さんの姿が思い起こされます。
認知症になる父を名優・山崎努が演じていますが、原作を読んだ段階でこの役を演じる予感がしたそうで、見事なはまり役です。元・中学校校長で国語教師だったのに、徐々に言葉を失い、本も読めなくなっていく様子は悲哀そのものです。しかし、逆に言葉を失ってからの方が家族に愛情が伝わるというのが印象的で、素晴らしい演技によって生まれた奇蹟のシーンと言えます。
果たして認知症とは本当に “記憶が消える” 病気なのか? 「実は忘れるのではなく、新しいことが覚えられない病気」とも言われていますが、発症前の大切な記憶は、たとえ言葉に出せなくなっても決して消えることがないのだと信じたいです。ぜひご覧ください。
(フォーラムシネマネットワーク番組編成 長澤 純)
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