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2019.8.30
『トールキン 旅のはじまり』
世界中の人々を魅了する物語はどのように生まれたのか。
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J・R・R・トールキンは、2001年から2003年にかけて大ヒットした映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作小説である『指輪物語』(1954〜1955年出版) を書いたことで知られています。トールキンは若かりし頃、3人の親友たちと、また生涯を通じて愛し合う女性と出会います。しかし、大学卒業後に第一次世界大戦へ親友たちとともに出征し、過酷な戦場を体験します。これらの出来事が、後年生まれる『指輪物語』に少なからず影響を与えています。
第二次世界大戦を描いた映画は多数ありますが、第一次世界大戦はあまり多くありません。最近だと、2017年の映画『ワンダーウーマン』で第一次世界大戦の戦場の様子が描かれたことが記憶に新しいのですが、今作ではより一層印象的に描かれています。世界中で1千万人以上の犠牲者を出した勝者なき消耗戦で、ただひたすら人類に苦痛と災厄をもたらしました。国家対国家の総力戦という時代になり、いったん戦争を始めてしまうと国民が納得する成果を得られるまでやめることができず、犠牲者が底なしに増え続けるというのが厄介です。その特徴は、塹壕戦による膠着状態が続いた挙句、敵の陣地に砲弾や毒ガス弾の雨あられを降らせるというもので、犠牲者の遺体が何カ月も放置されるという悲惨なものでした。まさに『西部戦線異状なし』で描かれている通りの様相です。
物語はいきなり混沌の戦場をさまようトールキンの姿から始まります。その時点で、この映画がただの伝記映画ではないことが分かります。トールキンは毒ガスの霧に包まれた戦場で、高熱にうなされながら親友を探し回り、何度も幻覚を見ます。戦場で思い返すのは妻エディスの愛と、若かりし頃に瑞々しい感性を分かち合った親友たちとのかけがいのない時間…。それは『指輪物語』において、強い絆で結ばれた9人の旅の仲間に姿を変え、永遠となります。トールキンが戦場で何を感じたか、なぜ絶望の淵からよみがえり世界中の人々を魅了する物語を作り上げることができたのか、観客自身が体験できる素晴らしい映画です。ぜひご覧ください。
(フォーラムシネマネットワーク番組編成 長澤 純)
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
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