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2020.3.13
寅さんの集大成にして入門編
『男はつらいよ お帰り 寅さん』
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『男はつらいよ』は、1969年から1995年にかけてシリーズ48作が劇場公開され、渥美清さんが亡くなられた翌年、1997年の第49作 (特別篇) をもって、いったん終わりを告げています。第一作目の公開から50周年となる2019年、第50作目となる最新作が公開されるというニュースは、驚きを持って受け止められました。いったいどんな映画になるのか? 寅さんはどのような形で登場するのか? 映画を観る前にこれほどワクワクするのは久しぶりの体験です。
山田洋次監督が本作を構想したのは、『母と暮せば』公開直後の2015年春のことです。シリーズ49作、時間にして83時間のフィルムを繰り返し観たところ、寅さんの甥である満男の成長を一貫して見守り続けた寅さんの姿が印象的だったそうです。27年続いたシリーズならではの〝時の流れ〞ですが、本作では50歳になった満男とイズミの再会を軸とした物語が描かれ、シリーズに新たなドラマの深みが加わりました。
イズミ役の後藤久美子さんが23年ぶりに復帰することも話題になっていますが、最大の関心事は寅さんの登場の仕方ではないでしょうか。寅さんがいなくなった寂しさから、在りし日の寅さんの昔話に花が咲き、蘇るあの日々。満男にとっては伯父さんの一言一言が懐かしく思い出されます。とは言っても破天荒な寅さんのこと、名場面で繰り広げられる寅さんの一挙手一投足に試写室が笑いの渦に包まれていました。あらためて感じるのは、渥美清という稀代の名優の凄さ。この映画を観ると、もっと寅さんが観たくなる、病みつきになりそうな魅力です。
リアルタイムで『男はつらいよ』を楽しんでいた世代はもちろんですが、特にお勧めしたいのは、寅さんは知っているけど映画は観たことがない方です。寅さんの美味しいところが濃縮されたダイジェスト版のような映画でもあるので、これを機に寅さんワールドにハマる人も多いのではないでしょうか。ぜひご覧ください。
(フォーラムシネマネットワーク番組編成 長澤 純)
(C)2019 松竹株式会社
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