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2017.9.13
あなたの中の5歳児が目覚める『スイス・アーミー・マン』
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この映画を紹介するのはとても難しいです。映画が難しいからではなく、この映画が好きだと公言して私は大丈夫なのか?とちょっと心配だからです。
「死体に溜まったオナラの力で無人島から脱出しようとする男の話」というこの映画の存在を知った時から、実は私の期待のボルテージはすでにMAXに達していました。まるで5歳児が大喜びしそうな物語設定ですが、ダニエル・ラドクリフが死体の役で、ポール・ダノが男の役と聞けば、この二人は果たしてどこまでやってくれるのだろうか?とワクワクせずにはいられません。そして実際、この映画は全くちゅうちょすることなく、どこまでも突き進んでくれるのです。あなたはきっと良識ある大人だと思いますが、ここはぜひ子供の頃の原始的な感覚を取り戻して、オナラの音で笑い転げましょう。観終わって映画館を出る時には、人間の想像力の果てしなさと、境界線を越えて行く勇気に感動し、きっと外の景色が違って見えるはずです。
この奇想天外な傑作の監督・脚本は、〝ダニエルズ〞というアメリカ人のクリエイターコンビで、ミュージックビデオ界ではすでに圧倒的人気を得ている若手です。あり得ない設定に命を吹き込む感情のディテールの積み重ねと、体を張った手作り感がたまりません。そして予告編でも使われているあの高揚感たっぷりの曲は特に強烈なインパクトを放っていますが、映画音楽を手掛けているのはマンチェスター・オーケストラというインディー・ロックバンドのメンバーである、アンディー・ハルとロバート・マクダウェルです。全編を通してほぼすべての楽曲が楽器を用いず、ダニエル・ラドクリフ、ポール・ダノ、アンディー・ハルの声と自然環境の音だけを使って作曲されたとのこと。もう、チャレンジに次ぐチャレンジですね。
これを見たら普通の映画では満足できなくなるかも知れない、『スイス・アーミー・マン』は絶賛公開中です。お見逃しなく!
(C)2016 Ironworks Productions, LLC.
(フォーラムシネマネットワーク 番組編成 橋浦 綾)
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