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2018.6.5
安藤サクラに打ちのめされる心地よさ
『万引き家族』
FORUM SELECTION
どんなに技術が発展しようとも、面白い映画の共通点は「人間を描いている」こと。人間が人間を理解しきれない以上、映画は永遠に面白くあり続けるのではないでしょうか。是枝裕和監督の最新作は、『誰も知らない』や『そして父になる』に連なる"家族"をテーマにしつつ、人間の奥深さを掘り下げる名作となっています。
何と言っても主演の安藤サクラの凄さに打ちのめされます。歴代の大女優にも並ぶ実力派であり、一作ごとに違う色の輝きを放つ素晴らしい女優ですが、本作でも、愛情にあふれつつも心の病みが垣間見える多面的な役でその実力を遺憾なく発揮しています。「想像をはるかに超えて素晴らしかったので、どんな理由で彼女にオファーしたのか、もはや思い出せない」と是枝監督も手放しで絶賛しています。
もう一人の主演であるリリー・フランキーも、善とも悪とも言えない味わい深い演技で、冒頭からぐいぐいと惹きつけられます。人間の弱さやちょっとした悪さをここまで魅力的に表現できる役者は他にいません。また、樹木希林をはじめ、松岡茉優、池松壮亮、緒形直人、森口瑤子、高良健吾、池脇千鶴など豪華キャストが、印象的なシーンを作り出しています。
物語はタイトルの通り、とある家族が都会の片隅で身を寄せ合うように生活し、貧困のため足りない生活品を万引きで賄いながら生活しているという内容ですが、それは物語の入口に過ぎず、後半からガラリと印象が変わります。そのとき、前半で「これはこれで有りだよね」と共感していたり、「子供を犯罪に巻き込むのはおかしい」と批判的だったりする観客を、見事に迷わせます。映画『ジャンヌ・ダルク』の後半でダスティン・ホフマン演じる幻影がジャンヌを追い詰め心の闇を炙り出すように、観ている私たちの心の闇も炙り出されるような気がします。ぜひお楽しみください。
(フォーラムシネマネットワーク番組編成 長澤純)
この映画の企画がスタートした一年前から、僕の中でいろんなタイトルが浮かんでは消え、結局最初に付けたタイトルに戻りました。実は、万引きする人たちのお話であると同時に、万引きされた人たちの物語でもあるという二重の意味を込めたタイトルなのですが、そこは出来上がった映画を観て頂くとご理解頂けるのではないか、と思っています。
(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
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