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2018.5.21
親離れしたことのあるすべての人の胸を締め付ける名作『レディ・バード』
FORUM SELECTION
今年の賞レースを席巻した本作が気になっている方は多いと思いますが、期待を裏切らない名作です。俳優たちの演技、監督の演出どちらも素晴らしく、映画を観る喜びを感じさせてくれます。内容は、高校3年生の女の子の1年間を短い時間で怒涛のように体験していくというもので、セリフや編集のテンポが良く、ある意味 "ジェットコースタームービー" とも呼べる爽快さ。リチャード・リンクレイター監督の名作『6才のボクが、大人になるまで。』との共通点がありそうですが、あちらは12年間を2時間46分、こちらは1年間を1時間34分で描くということで、より密度の濃い印象を受けました。
見どころは主人公である17歳のクリスティンと母マリオンの苛烈な口喧嘩の応酬。本当は、クリスティンは誰よりも母を信頼しており、マリオンも娘のことを愛していることが分かるだけに、観ている側も苦笑いするしかないのですが、「何もそこまで言わなくても…」とハラハラする激しさです。親子というものは、本当はお互いに必要とし合っているのに、顔を合わせるとささいなことでイライラしてしまうのはなぜなのでしょうか。親子関係の面白さと不思議さが詰まったやりとりに、共感したり追体験したり、心がざわつきっぱなしの映画です。
監督デビューとなるグレタ・ガーウィグが自身の体験をヒントに1年かけて書いた脚本は秀逸で、どのセリフも生き生きとして瑞々しく、母親側の立場で感情移入することもできる懐の大きさがあります。30歳を超えて書いたからこそ、母親の気持ちを理解することができ、このような深みが生まれたのでしょうか。親離れと表裏一体となった子離れという体験にも、同じように胸を締め付けられます。空港のシーンの母親のある行動は、一生の記憶に残る名シーンになることと思います。ぜひご覧ください。
(フォーラムシネマネットワーク番組編成 長澤純)
監督・脚本:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン/ ローリー・メトカーフ
2017 / アメリカ/ 1h34 PG12
グレタ・ガーウィグ監督▲
(C)2017 InterActiveCorp Films, LLC./Merie Wallace, courtesy of A24
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