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2018.6.9
観覧車は上昇したら下降するしかない。
『女と男の観覧車』
FORUM SELECTION
観覧車に乗ると、上昇していくに従って気持ちが高揚し、頂点に達したときは満足感と幸せを感じることができます。しかし、その後は下降していくとともに気持ちが徐々に停滞し、それでも最後まで楽しもうと努力しますが、見える風景がどんどん現実的になるにつれて「次はどうしようかな」とすっかり冷めてしまいます。実はもう一度乗るという選択肢があるのですが、もし二人で乗っていて、片方が「もう一度乗りたい」、片方が「もう飽きた」となった場合はどうなるでしょうか。
ウディ・アレン監督の最新作『女と男の観覧車』は、そんな男女のすれ違いを描いていますが、それだけでは終わりません。年齢を重ねると気付くことの一つは、人は驚くほど「心は年を取らない」ということ。ケイト・ウィンスレットが演じるジニーは、再婚して連れ子を育てながらウェイトレスとして働き、裕福ではありませんが不自由なく暮らしているように見えます。年齢的にも十分落ち着いて良いはずですが、それでも「ここではない、他にもっと素敵な人生があるのでは」と夢見てしまいます。
2014年に公開されたウディ・アレン監督の名作『ブルージャスミン』を振り返ると、痛い言動を繰り返す主人公ジャスミンについて、コメディと見るかシリアスと見るかで味わいが変わる不思議な映画でした。今作でのケイト・ウィンスレットはキャリア史上最高の部類に入る演技で、初めのうちは一番まともな人物に見えるのに、徐々に切迫していく姿に凄みを感じます。愚かと笑うことはたやすいのですが、やはり単純に笑い飛ばすことのできない悲哀を醸し出しています。「人生は一度しかない」という残酷な現実に、どう向き合うかは人によって違いますし、正解はありません。この映画をどう感じるかは、十人十色になりそうです。ぜひご覧ください。
(フォーラムシネマネットワーク番組編成 長澤純)
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ケイト・ウィンスレット/ ジャスティン・ティンバーレイク
2017 / アメリカ/ 1h41
(C)2017 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
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