裕福な家庭で育ち理想的な家族もいた新次は、死の危険もある病に冒され手術を控えていた。眠れず、食欲も湧かず、不安に苛まれている彼は、心理療法士に「それ」という存在に会わせてほしいと懇願する。「それ」とは、病気の人間に提供される、全く同じ見た目の“もう一人の自分”。「それ」と対面した新次は、自分とまったく同じ姿をしながらも、今の自分とは異なる内面を持ち、また純粋で知的な「それ」に関心を持ちのめりこんでいく…。『赤い雪 Red Snow』で鮮烈なデビューを飾った甲斐さやか監督の長編第二作。編集は『落下の解剖学』で第96回アカデミー賞編集賞にノミネートされたロラン・セネシャルと、『ドライブ・マイ・カー』編集担当の山崎梓が担当。第一線で活躍するスタッフがタッグを組み、美しい化学反応が解き放たれる。