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2020.7.11
『島にて』山形凱旋!大宮浩一監督&田中圭監督 舞台挨拶
【山形凱旋!舞台挨拶上映 】
日時 7月11日(土) 10:00の回上映後
ご登壇 大宮浩一監督 / 田中圭監督
酒田港からフェリーで75分の距離に位置する県内唯一の有人離島、飛島。少子高齢化が進み、現在の人口は約140人ほど。島でただ一人の中学生、Uターンして起業し雇用を生みだそうと奮闘する若者、往時を懐かしむ漁師―。大宮浩一監督と田中圭監督が、社会問題としてではなく島に生きる一人ひとりの暮らしに焦点を当て、平成最後の一年間を丁寧に追ったドキュメンタリー。
【各界からのコメント】
藤岡朝子さん
夏休み、フェリーでやってくる人波に、少年たちがいた。
日に焼けた肌、じっとできない手足、照れ隠しのピースサイン。食材の入った段ボールを台車に積む手伝いが終わると、波止場で釣り糸を垂らして、バ スケや女の子の話をしては小突き合って、バカを言い合う。
このシーンを見てホウ・シャオシェン監督の自伝的映画「風櫃(フンクイ)の 少年」(1983年)を思い出した。舞台は台湾の澎湖島、やはり島だった。
不良少年たちは島を飛び出して都会(高雄)に渡るが、残した家族や故郷への複雑な思いと大人への階段にとまどう。「島にて」は「風櫃(フンクイ)の 少年」の20年後のようだ。
飛島にIターンUターンして新しいコミュニティを始める青年たちに、かつてのアーチンやアーロンの面影を見た。
これは高度経済成長の時代から少子高齢化の円熟社会へのバトンタッチにつ いて、美しい映像の持つ喚起力を通して考えを促してくれる映画だと思う。
藤岡朝子
ドキュメンタリー・ドリームセンター代表。
山形国際ドキュメンタリー映画祭理事、独立映画鍋理事、Tokyo Docs実行委員。
2009年よりアジア各地で映像制作者の合宿型ワークショップを主宰、2018年に長期滞在のアーティスト・イン・レジデンス「山形ドキュメンタリー道場」をスタート。
アジアのドキュメンタリー映画の上映・制作支援・普及のために活動する。
白崎映美さん
美しく尊い、人の営みが描かれていました。
果てしない欲望のままに、地球をいいようにしてきた人類。
このままでは立ち行かないよ、と警告が来ているようなコロナウイルス禍に、自然を敬い、助け合い、季節と暮らす人達の美しさ。
ほんとうの豊かさほんとうの幸せを教えてくれるようです。
この島が、私の田舎さ、あるということが、誇らしぐ、うれしぐ思える映画でした。
オラ染(そめ)さんのファンなたちゃ〜。
白崎映美
歌手 山形県酒田市出身。
1990年、上々颱風でエピックソニーよりデビュー。JAL沖縄キャンペーン CM、スタジオジブリ「平成狸合戦ぽんぽこ」映画音楽、シンディ・ローパー のアルバム&武道館ライブ参加等、多岐に渡る活動で支持を集める。2013年 上々颱風休止後、東北にいいことどんと来い!と「白崎映美&東北6県ろ~ るショー!!」結成、酒田の元グランドキャバレー白ばらを盛り上げようと「白崎映美&白ばらボーイズ」結成他、音楽劇、テレビ、ラジオ、様々なス タイルでソロ活動を展開中。
酒田観光大使、モッシェ山形代表理事。2017年酒田市よりふるさと栄誉賞受賞
加藤到さん
もう、40年以上も昔の夏、高校時代の友人たちとの海水浴の記憶がある。その後何度も再訪しようと思いながら未だに行けていない。
近年では夫婦で犬を置いて旅に出られず、尚さら遠い島だった。昨年その犬が旅立ち、やっと飛島に渡れそうな気がしていた。そんな時に観たこの映画は、もう一度行きたいという私の願望を思いっきり刺激した。
特に何に期待しているわけでもない。40年前とそれほど変わらぬ自然の風景と、かなり寂れてしまった島民の生活が垣間見られるだけなのだろうが、それでも行かずにはいられない衝動に駆られているのだ。
1本の映画を見終わって満足してしまうのでなく、実際に自分の目で確かめなければ気が済まなくなってしまうこの映画の力に圧倒されそうになっている。
聖地巡礼というわけではないが、コロナ終息後、早速渡らねばなるまい。
加藤到
1958年山形県鶴岡市出身。
東北芸術工科大学情報デザイン学科映像コース教授
認定NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭副理事長
東京都立駒場高校時代から8ミリフィルムによる映画制作を始め、実験映画、ビデオアート、インスタレーション、パフォーマンス等、メディアアー トを幅広く手掛ける。
佐藤広一さん
観ているあいだ、まるで飛島の港で日向ぼっこをしているかのようだった。
これまでにあるようでなかった映画である。
老人たちの表情がチャーミングで、わけもなく泣けてくる。
厳しい現実が次第に透かし見えてくるものの、人びとは飄々と島の生活を送っており、なんだかその姿からは現代への【問い】を感じてしまう。
地元山形県民にとっては、飛島は近くて遠い場所なのである。
佐藤広一
山形県出身在住。映画監督。1998年、第20回東京ビデオフェスティバル(日本ビクター主催)にて、短編映画「たなご日和」でゴールド賞を受賞。監督作に 「隠し砦の鉄平君」(06年)、Webドラマ「まちのひかり チェーズー ベー」(20年)主演:庄司芽生(東京女子流)がある。 ドキュメンタリー映画「無音の叫び声」(16年/原村政樹監督)、「おだやかな革命」(17年/ 渡辺智史監督)、「YUKIGUNI」(18年/渡辺智史監督)では撮影を担当。 監督作である「世界一と言われた映画館」(ナレーション:大杉漣)が2019 年より全国順次公開。
荒井幸博さん
飛島。なんと懐かしい響きだろう。
33年前の夏、酒田市連合青年団と一緒に飛島小・中学校体育館で上映会を開催。
島の小中学生30人程が観賞していたが、本作を観ると2018年現在では小中学生併せてたった一人。それも9年前に移住してきた家族の末っ子の中学3年生。彼も卒業後は酒田市の高校へ進学するため島を出る。
島民の殆どは高齢者。漁を生業としているお爺さんは、35年前に漁師を止め 東京の工場で働いたが、還暦を前に夫婦で島に戻り、漁をしながら生活。活気があった昔を回想する。
夫に30年前に先立たれ、子供は酒田市で暮らし、酒田での同居を勧められても決して島を離れず独り暮らしをしているお婆さんは、腰が曲がりながらも 60年登り続けている急な階段を生活路として利用。昔の苦労話をし、島の過疎化を嘆く。
淡々と日々の暮らしを営む老人たちの表情は穏やかで柔和、そして微笑みを絶やさない。人口200人足らずとなり限界集落と化しているこの島に希望はないのかと思いきや、Uターン・Iターンで移り住んできた若い世代が島の文化・伝統・信仰を大切に守りながらも新たな試みを始めている。再三、鳥海山が映りこむが、私には、かすかに希望の光が刺したかに見えるこの島をやさしく見守ってくれているように思えた。
荒井幸博
シネマ・パーソナリティ。山形市を拠点に映画紹介や映画人インタビュー、トークショー、映画祭等を企画・開催。担当媒体・番組FM山形「あらいゆきひろのシネマアライヴ」、山形コミュニティ新聞「荒井幸博のシネマつれづれ」、フリーマガジンgatta!webコラム「荒井幸博珠玉の出会 い」、NHK仙台放送局「ひるはぴ」「もりすた」映画紹介(2015・4~‘19・3)他
佐々木亜希子さん
酒田市民にとっても近くて遠い飛島。子どもの頃に船酔いを初めて経験したのも飛島行きフェリーだった気がします。でも、大好きなところでした。
飛島は、日本海の暖流と寒流がちょうどぶつかる位置にあるため、植物も野鳥も魚貝も多様な種が存在します。小さな島に、美しい原生林や神秘的な賽の河原、落武者を葬ったと伝えられる「源氏盛・平家盛」や平安時代の人骨が出土した謎の洞窟「テキ穴」などもあり、非常に魅力的な島です。島の人々に受け継がれてきた祭事や風習は民俗学的にもとても価値あるものだと思 います。
私が子どもの頃は、漁業もたくさんの旅館民宿もとても元気で、夏は一大観光地でした。
飛島中学校は、卓球部しかなかったのですが、男女ともに非常に強く、私の母校とよく団体・個人戦ともに優勝争いをしていました。あの頃憧れ、畏敬を抱いていた先輩の顔が、この映画に出演している老夫婦に重なりました。名字も同じで顔も似ている…ご両親かどうかわかりませんが、この映画を観 ている間中、走馬灯のように、当時の勢い盛んな飛島や、私がNHKにいた頃 何度か取材に訪れた当時の過疎化が進みつつも温かい人々が迎えてくれた飛島が甦って脳裏を巡りました。
さらに時が移り、消えそうな島の灯を新たに灯し始めた新しい世代の新たな取り組みと生き方、そして、島に暮らし続けるおじいさんおばあさんたちの言葉からにじみ出るそれぞれの人生…。
何度となく笑い、涙しました。
この作品は、飛島固有の歴史や文化も残しつつ、全国の島や地方が抱える問題も浮き彫りにしています。
懐かしさと切なさと温かさと、不安と希望。
酒田の方言とともに、じっくりご覧頂きたい一作です。
佐々木亜希子
山形県酒田市出身。活動写真弁士。
NHK山形放送局でニュースキャスターを務めた後、2001年より無声映画の説明者活動弁士として活躍。全国各地の映画祭や上映会に出演。レパート リーは200本を数える。『君の名は。』『カツベン!』など活弁を活かした音声ガイドも手がけ、 NPO法人Bmap(Barrier-free movies for all people)理事長として、障害のある人もない人も一緒に楽しめるバリアフリー映画の上映・普及活動も積極的に行っている。
ナレーション、MC、舞台出演、講演、執筆等、活動は多岐に渡る。著書『カツベンっておもしろい!現代に生きるエンターテインメント「活弁」』(論創社)
遠藤徹さん
夫に先立たれ30年間一人で暮らすおばあさんがぴかぴかの廊下をさらにぴ かぴかに雑巾がけする映画、若い頃に遠洋漁業で日本中を飛び回ったおじいさんが難儀そうに小舟にエンジンをかけようとする映画、島で唯一の中学生が太陽の日差しを浴びながら岩にしがみつくタコを海中から引きずり出す映画…。
「島にて」はどんな映画ですか?と聞かれたら、思わずこう答えたくな る。島の人と自然の一場面一場面、一瞬一瞬が映画になっている。
在りし日の繁栄や若い頃の苦労を語る老人たちの「いま」、島のこれからを語る若者たちの「いま」。過去と未来を多層的に描きつつ、映画は徹底してこの島の「いま」を記録し、提示する。
このコミュニティは確かに、少子化、高齢化、過疎化、いろんな「化(=時代の流れ)」に直面しているかもしれないけど、一人一人は肩肘張らず、ギラギラせず、目に見える身の回りのことを大切に「いま」を生きている。
島の人々の(訛りのきつい)言葉、(はにかんだ)笑顔、そして(美しくも 優しい)風景を前にし、島の外を生きる私たちは知らぬ間に、島に流れる時間に巻き取られていく。そしてそれが、実に心地よい。
この感覚はなにかに似ている。そう、露天風呂だ。しかもまだ明るいうちに、陽に当たり、そよ風に吹かれ、波の音を感じながら浸かる、オーシャン ビューの露天風呂。
映画には終わりがあり、いつかは現実に戻らなきゃいけない。まだ浸かっていたいのに、と後ろ髪を引かれながら風呂を出る。服を着る。まだ乾ききらない髪に、潮風が吹く。それもまた心地よい。
と書きながら、やっぱりもう一度、風呂に入りたくなってきたなあ。
遠藤徹
認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭 事務局スタッフ。
主宰するサケ科魚類研究会が製作したテーマ アニメーション公開中。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=10&v=ZKGqF4xffbg&feature=emb_logo
「仮設の映画館」でも公開中!
オンライン上で最寄りの劇場を選んで映画を鑑賞できるプラットフォームです。映画館に足を運べない方は、こちらへどうぞ!
http://www.temporary-cinema.jp/
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